7 夏の終わり

 夏の終わりは、いつも唐突にやってくる。
まだ猛暑の続く8月、ナツズイセンとも呼ばれるリコリスの花が咲く。

 そんなある朝、空気の色が変っているのに気付く。
山の中では、ツクツクホウシの声が響き、田んぼの上には、ナツアカネが群れ飛んでいる。
日暮れが早くなっていくのを、肌で感じ始めるのが、丁度、この頃。
 リコリス 彼岸花科

花が咲いたら、春まで休眠後、葉を出して養分合成
また休眠して、8月に花を咲かせるという、
変則的な生き方をする球根植物


 透き通るような色合いの花弁の先は、
ブルーを帯びている、魅力的な花だ。

が、彼岸花科の常として、球根には毒アリ


 残暑続く秋、辺りを舞っていたアゲハ蝶達が、ある日を境に、パッタリと姿を消す。
日を追うごとに短くなっていく昼間、ふと気付けば秋。
彼岸花の蜜を吸うカラスアゲハ




時に「死人花」などと呼ばれる彼岸花  
以外に脆い紅い花は、ある日、唐突に姿を現して、数日で消えていく


天上の紅い花、それは、どこかしら、この世のモノでない雰囲気を持っている


 強い日差しの下、空高く舞った日が、今は遠い。
千切れた羽、残り少ない命、アゲハは飛ぶ。


夏が逝った


夏、薄いオレンジ色だった体も、
いつの間にか紅くなった。


 秋の夕暮れ空に浮かぶ、白い半月

黄昏は、逢魔の時間、向こうからやってくるのは、狐か鬼か。
 集まる虫達も減り、花畑も寂しくなってくる。

コスモスの蜜を吸う、ツマグロヒョウモン


晩秋、ヒャクニチソウに来たツマグロヒョウモン
 かつて、自由に空を飛んだ羽は、
もう、半分も残ってはいない。

それでも、自分で飛ぶしかない。
 今日と言う日を生きるために。



ダム湖に映る紅葉も、もう最終版


 夏の間、花陰で獲物を獲っていたカマキリも、晩秋には、狩の場は無い。
気温が低いと、虫達は、極端に動きが鈍くなる。
 
 タマにやってくる小さな虫を狙っても、かつての俊敏さを無くしたカマは、虚しく空を切るだけ。

 フラフラと出てきた、メスのカマキリ。
その腹部は、タマゴで重たげだ。
 目ざとく見つけたオスが、飛んできて、しがみつく。

 そこへ、さらにオスがやってきた。
間男の登場に、雌は迷惑げ。


ツワブキの花とアサマイチモンジ

晩秋に咲くツワブキは、虫達の大事な餌場だ。
こちらは花アブ


 ツマグロヒョウモンのカップル

 初冬の陽だまりでするのは、冬篭りの相談?
来春の話をするにも、「生きていたらね」の前置きが要りそう。
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