6 闇を待つ者達

 夕闇を待ちかねたように、オオマツヨイグサが花開く。
ブーン・・・と羽音を立てながら、集まってくるスズメ蛾達、闇に浮かぶ黄色い花は、今宵も、宴たけなわ。

 マツヨイグサは、夜でも目立つよう、花弁は蛍光色の黄色をしている。
花粉は、虫に花粉を運んで貰い易いよう、互いに絡みつくような粘りを持っていて、
雌しべは突き出し、受粉し易いように進化したのだそうだ。
夕暮れ、花を撮りに行ったら、
タマタマ撮れたのが、コレ。

 画面右上、蛾の足に絡みつく、
花粉の糸が写っている。

スズメガの飛ぶスピードは、ハンパじゃなかった。



一度きりのチャンス

 闇の中、セミの幼虫が、一度限りのチャンスに挑む。
見ているほうが、じれったくなるほどの時間を掛けて。

 朝日が昇らぬうちに、敵が来ぬうちに、・・・
もしも途中で力尽き、陽に晒されたならば、7年もの間、地中でその身を守ってきた鎧は、そのまま、自身の棺桶となる。
 命の火が燃え尽きるまでの僅かな時間、縮んだままの羽をバタつかせながら・・・

 夕暮れ時、敷地内の木に居た幼虫を発見、
幼虫が、つかまっていた葉ごと、室内に入れる。

 部屋の灯りは消しておき、撮影時だけ点けた。
 
午後8時過ぎ、背中が割れる

 
ここまで出るのに30分以上 
 

 子供の頃、半身が出た状態で、固まってしまった蝉を見つけると、なんとも言いようの無い、欝な気分になったものだ。
幼虫の時は、殻を被って動いているのに、一旦、脱皮を始めたら、殻と神経が切れるのか、手足も動かせなくなってしまうようだ。

 殻から体を抜く時、蝉の腹部から、
白い糸のようなものが抜け、殻に残る。

その、糸のようなものが、殻と体を繋ぐ、
神経のようなものかも知れない。


ぶら下がりながら、体を抜いている。
ここからが長くて、30分は動かない。
ようやく、体が抜けた
薄緑の体、背中には、産毛が輝いている
 羽が伸びていく
 森の妖精のような、薄緑色の体は、
見る間に色付いていった。
羽化を始めてから、3時間後くらい
さらに一時間くらい後

殻に残った、白い糸が見える

蝉は、翌朝、元気に飛び立って行った。
別編目次へ戻る 次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送