白い花の咲くところ 2
6月1日

 人里離れたそこの、静寂を破るのは、鳥の声と風の音。
香る夏草と白い花、ときは、ゆうるりと流れてゆく。
               静寂 

 この先は、発電所施設で行き止まり、昼間でも滅多に車も来ない場所なのに、
この日は、私が居る間に、2台も(!)入ってきた。
木陰

(シルビアのボディに散る花と、映り込む木々の影)
 花は、ずうっと昔から、季節が巡る度、そこに咲いていた。
 ヤマボウシ
 
渓流の白い花は、下界を知らない。

 人知れず、ただひっそりと、そこに咲く。

 どうか、私を見ないで?
そのまま気付かないフリをして。


 滝入り口近くにある樹なのに、私も知らなかった
天然モノのヤマボウシは、白い庖も小ぶり、ウドンコ病などもない


 ノイバラ

真っ白な花は、鋭い刺で身を守る。

 触れられるのがキライなの。
どうか、私に触らないで
       

   白い花の中、ほんのり薄紅色の花が目を引いた。
   バラの原種であるノイバラは、たまにこういう変異体が出るようだ。

    かなり昔のことだが、いつもの通り道沿いの藪に、
   毎年、桃というより、赤に近い花の咲く個体があった。
   その後、道路拡張工事で、その個体は消え去ってしまった。
 アナタは誰?
懐かしい声、ずうっと前に、どこかで逢ったみたい。
儚い想いは、季節とともに流れ去り、消えた。

 夢遥か、遠い日は幻のよう。


 スイカヅラ 別名 金銀草またはニンドウ
 英名 ハニーサックル

 一対で咲く白い花は、夜によく香り、
咲いてから時間が経つと、黄色く変る。

 ↑の写真のものは、ノイバラと同居中。

 
 ねぇ、約束よ?
何回もの、春と夏と秋と冬、ずうっと一緒に居ましょうね。
 時が経って、私がオバさんになっても。




テイカカヅラ 夾竹桃科 (つまり有毒か?)
花径 3センチ強


 高さ10mほどもある樹が、全身に絡みつかれていた。
上部の右半分は、画面から外れたところに絡んでいる。
 樹を足場にして、絡みつきながら、どこまでも伸びていく。
テイカカヅラの白い小花は、甘く香る。

 藤原定家と式子(しょくし)内親王の秘密の恋の後、
墓には、定家の執心が蔦葛となって、びっしりと這いまとわっていたという。
                            能『定家』より
 たとえアナタが死んでも、絶対に逃しはしない。
憶えて置いて頂戴?  
私は死後も花となり、アナタの墓標を抱くわ。
アナタは死んでも逃れられないの。
 ずうっとね。  ふふっ・・・


 執着は、あり過ぎても罪、無さ過ぎても罪なもの。
ほどほどというのは難しい。
  白い花が、風に揺れる様は、どことなく淋しげだ。
大きくしなって、手招きしているのか、
はたまた、永久の別れを惜しんでいるのか・・・


 「還っておいで」と月が呼ぶ。
「もう還れない」小さな呟きは誰にも届かない。

届かぬ想いに、淋しい、淋しいと、白い花が揺れている。
 ああ、そう言えば、そんなこともあったわね。
アナタのことなんて、すっかり忘れていたわ。
 だって、ずうっと昔、私がヒトだった頃のことだもの。

 今は風の向くまま、気の向くまま、揺れて揺られて・・・
私は、荒地に咲くハルジョオン
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